ポーティスヘッドのおすすめ曲集|陰鬱なメランコリア

Portishead(ポーティスヘッド)とは

ブリストルから生まれた、陰鬱なメランコリア

Portishead(ポーティスヘッド)はイギリス西部に位置する、港湾都市ブリストル出身のグループです。このブリストルという都市は音楽的に非常に特異な土地であり、そこでは、ジャマイカ系移民のカルチャーと結びついた特殊な音楽文化が育まれ、PortisheadをはじめとしてMassive Attack(マッシブアタック)やRoni Size(ロニサイズ)など、陰鬱な世界観を特徴とした、様々なミュージシャンを生み出しています

特に彼らは、グループの中心人物であるGeof Barrow(ジェフバロウ)が影響を受けた映画音楽やジャズを下地に、当時流行していた90年代のブレイクビーツを通過した作風で、いわゆる”トリップホップ”(注意!本人はこの分類を嫌っている)というジャンルを定義づけたと言われています。

この記事では、そんな彼らの聴くべき曲について紹介していきたいと思います。なお、彼らは記事公開時点では、3枚のアルバムをリリースしています、この記事での紹介方法についても各アルバムのリリースに沿って、やっていきたいと思います。

 

Portisheadの聴くべき曲

“Dummy”(ダミー)のおすすめ

彼らのファーストアルバムです。おそらくPortisheadといえばこのアルバムを想像する人がほとんどではないでしょうか。それほど彼らの作品の中で最もよく知られているアルバムであります。

Portisheadは商業的な広告や宣伝を嫌っているので大掛かりなキャンペーンはほぼ行われませんでしたが、ヨーロッパやアメリカを中心に大ヒットを果たします。特に評論家筋からなどの評価は軒並み高く、辛口で知られるアメリカのメディアPitchfork(ピッチフォーク)では10点中9.5点のハイスコアを記録し、1995年にはイギリスで最も権威のあるマーキュリー賞(イギリス版のグラミー賞みたいなもんです)を受賞しました。

“Glory Box”

間違いなく彼らのナンバーワンヒットソングであり、3分半ほどでこのバンドの魅力が見事にパッケージされた曲に仕上がっています。

ベスギボンズの質素で退廃的なボーカルに、エイドリアンアトリーによるダビーで歪んだギターソロ、そして「映画音楽とブレイクビーツの融合」をコンセプトに据えジェフバロウのシネマティックなサウンドスケープ。素晴らしいの一言に尽きます。

“Roads”

シンプルながら悲しみやメランコリックといった感情をこれほど誘発する曲があるでしょうか。ファーストアルバムは特にエイドリアンアトリーによるギターが前面にフィーチャーされていてカッコいいですね。

アメリカの音楽メディアであるPitchforkによると、彼らのアルバムタイトルの”Dummy”(ダミー)は、イギリスではただのマネキンやバカを暗示する言葉ですが、敢えてそれをデビューアルバムのタイトルに皮肉を込めて使用した、と書いています。

“Numb”

このアルバムのシングルカット曲です。

“Sour Time”

冒頭の印象的なサウンドは、Lalo Schifrin( ラロシフリン)の”Danube Incident“をサンプリングしたものです。このことからもわかる通り、このアルバムのサウンドプロダクションにおいて大きな役割を占めたジェフバロウは、サンプリングといった手法を取り入れるなど、ヒップホップからの影響が色濃いです(出来上がった曲はそれと似ても似つかないですが笑)。

彼らがよく分類される”トリップホップ”と呼ばれるジャンルが、トリップ(薬物などでハイな気分になること)とヒップホップの造語であることからもその関係性がわかりますね。音楽性や雰囲気は全く似ていませんが、作曲の手法的な面では似通っている部分が多いのですね。

 

“Portishead”のおすすめ

3年間もの期間を空けてリリースされたのがセルフタイトルのこのセカンドアルバムです。底なしの暗さという点では前作と似通っている部分はあるが、今作は主に生演奏をサンプリングするという手法がとられたためか、またベスギボンズのボーカルを前面に据えた作風になっているためか、サウンド面でも雰囲気的な面においても、質感が全く異なっている点が特徴です。

またセールス面では、本国のUKをはじめ様々な国でチャートインしを果たし、世界的にはミリオンを達成するなど大成功を収めました。信じられませんがこんな退廃的な音楽が数多の人々に受け入れられたという事実は非常に興味深いですね。

“Only You”

ミュージックビデオを手がけるのはAphex Twin(エイフェックスツイン)やBjork(ビョーク)の作品で知られる、同じくイギリス出身のChris Cunningham(クリスカニンガム)です。彼の気味の悪い悪趣味な映像世界と絶妙にマッチしていますね。彼のMVに関しては本当に不気味ですが、なぜかその映像が癖になってしまう中毒性も持ち合わせているので気をつけてください。多分彼の製作した映像を視聴していたら、周りからは頭のおかしい奴だと思われます笑。

この曲をグループは、アメリカの番組”サタデーナイトライブ”で演奏しました。もはやポップスターですね笑。

“All Mine”

この曲はUKのチャートで最高8位まで到達し、彼らのキャリアにおいて唯一トップ10入りを果たした記念すべき曲となりました。

 

“Third”のおすすめ

そのタイトルの通り、彼らの3枚目のオリジナルアルバムに当たります。なんと前作から11年間のブランクを経てリリースされました。寡作と言ってしまえばそれまでなのですが、さすがのファンにとっては待ちに待ったという感じでしょうか。

評価は上々で、様々な国でチャートのトップ10入りを果たし、またいくつかの影響力のある音楽メディアでは2008年におけるベストアルバムにも選出されています。

Arctic Monkeys(アークティックモンキーズ)のフロントマンであるAlex Turner (アレックスターナー)など、彼らのデビューアルバムを聴いて育った若い世代から賛辞を送られるなど、色々な意味で時の流れを感じるアルバムです。

“The Rip”

こちらは3枚目のアルバムのシングルとしてリリースされた曲です。フランスでチャートインをして、Pitchforkが選ぶ2000年代のベスト500にも199にランクインするなど、そこそこの成功を収めました。

アニメーションを制作したのは、イギリスのチャーミンスターにある自宅で静かに映像制作をしていたNick Uff(ニックアフ?)という、おそらくPortisheadに起用されるまではほとんど公の場で自身のアニメーション作品をリリースしたことのない人物です。彼は、この曲のほかに”We Carry On“(ウィーキャリーオン)のアニメーションも制作しています。

また、この曲はイギリスを代表するバンドであるRadiohead(レディオヘッド)のThom York(トムヨーク)とJonny Greenwood(ジョニーグリーンウッド)がアコースティックカバーしたバージョンが存在します。と言っても公式のリリースなどではなく、Jonny Greenwoodの弟が偶然ホームビデオの録音をしていた際に歌っただけのものですが。

“Magic doors”

こちらも3枚目のアルバムのシングルとしてリリースされた曲です。

 

番外編 ”Roseland NYC Live”

オリジナルアルバムではなくライブアルバムですが、素晴らしいのでこの場を借りて紹介しておきましょう。ニューヨークにあるローズランドボールルーム(現在は閉鎖)で行われたライブで、アメリカの五大オーケストラの一つとして知られる、ニューヨークフィルハーモニックによる全面オーケストラアレンジバージョンのコラボレーションになっています。終盤に差し掛かったところから往年の代表曲ラッシュが始まる盛り上がりはなんとも形容しがたい素晴らしさに満ち溢れています。特にエンディング(1:03:52〜)の”Strangers”が演奏されたときのキマり具合は、オーディエンスの反応を含め全てが完璧ですね。

“Roseland New York City Live”

最初から最後まで本当に最高のライブです。必見。

 

終わりに

これほどまでに、ダークな雰囲気を纏ったグループはいたでしょうか?、90年代のUK音楽と問われたら、反射的にOasisやBlurのようなブリットポップと答える人が多いと思います。確かに当時においては彼らのようなロックスター然としたミュージシャンやバンドが持て囃されていました。しかしUKの90年代という時代をもっと大局的に振り返って見ると、ロックとダンスミュージックのクロスオーバーを試みたThe Chemical BrothersやFat Boy Slimなどの、いわゆるビッグビート勢。そして何より、今回紹介したPortisheadをはじめとした、陰鬱な世界観を十八番とするブリストル勢がいます。

こうして見ると90年代のUK音楽は本当に面白い。ぜひロックだけではなくたくさんのジャンルを掘ってみて、まだ聴いた事のないUK音楽を探してみてください。

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